冬の学校(2024年度)
当日の様子と受講生の参加体験記をまとめましたのでご覧ください。 Motor Control研究会では今後も若手研究者の方々の支援を継続して取り組んでいきます。
2024年度Motor Control研究会 冬の学校
去る2025年1月10日(金)に、愛知県岡崎市の生理学研究所大会議室において、MC冬の学校2024が開催されました。生理学・医学・工学・リハビリテーション・スポーツ科学・認知心理学など様々な分野から研究者・学生が集うMC研究会は、互いに知識のギャップを埋めようとすることで、活発な議論と新しい展開への流れを作ってきた研究会です。このため、特に若手研究者に自分の「隣の」分野を学ぶ機会を持ってほしい、との思いによってMC冬の学校が始められ、今に至ります。
今年度の新しい取り組みとして、夏に行われたMC18@大阪大学において若手奨励賞に選ばれた5名の学生さんやポスドクの方に、受賞記念講演を行っていただきました。いずれの講演も、聴衆に分かりやすく構成が工夫され、洗練されたスライドや、よく練られた話運びなど、大変素晴らしいものでした。MC研究会の若手奨励賞は、書類審査とポスター発表審査の2段階選考をくぐりぬけて授かるものですが、どちらの審査も審査員が悩みぬいて選ぶほど甲乙つけ難い演題ばかりのため、今回の講演者だけではなく、若手の皆さんが持つポテンシャルの高さも改めて感じました。また、今回は私から「一人一回マイクを持つこと」を目標として掲げたこともあり、フロアから活発な質問がいくつも飛び、どの演題もよい質疑応答が行われたと思います。
また、玉川大学脳科学研究所の武井先生には、神経科学的な運動制御研究の歴史をひも解いていただきました。若手の皆さんには目新しく、それなりの歳の者には情報の整理になっただけでなく、何かを理解するとはどういうことなのか、という問いかけと、その分類の話が心にじんわりと響き、その後何日も余韻が残りました。自分の目的とする本当のところは何なのか、そのためにどう進んで行くべきかについて、聴衆皆それぞれに思いを新たにしたことでしょう。
(文責:戸松彩花)
講演者・演題一覧
・杉野広尭 (慶應義塾大学 政策・メディア研究科)
両手を跨ぐ伸張反射応答の神経メカニズムの解明
・臼田 升 (公益財団法人東京都医学総合研究所 脳機能再建プロジェクト)
随意運動制御を支えるヒト脳脊髄の構造的・機能的特徴:脳脊髄同時MRI
・YI RUNA(University of Tsukuba, graduate school of comprehensive human science)
How we control our breathing?
・後藤太一(筑波大学/産業技術総合研究所)
脳性麻痺への髄鞘化誘導による運動機能回復の促進
・犬走 渚(京都大学大学院人間・環境学研究科)
手足を用いた目標指向運動における運動目標に応じた体肢間協調
・武井智彦(玉川大学脳科学研究所)
神経メカニズムを理解するとはどういうことか?
〜一次運動野研究の歴史から運動制御の神経科学研究を考える〜
MC冬の学校2024 受講体験記
MC冬の学校2024では、夏のMC18において「若手賞」を受賞した5名の発表と、武井智彦先生による運動制御の神経科学に関する講義が行われました。
受賞者5名の発表は、研究内容だけでなく、プレゼンテーションの仕方も非常に参考になりました。また、質疑応答の時間や休憩時間を活用して気軽に質問できたことで、自分の疑問をすぐに解決できただけでなく、新たなアイデアを得る機会にもなりました。参加者同士の交流も活発で、研究について深く語り合うことができ、とても楽しい時間を過ごしました。
最後に行われた武井智彦先生の講義では、運動制御の神経科学について、これまでの研究の流れを踏まえながら、教科書に載っているような基本的な内容を非常にわかりやすく学ぶことができました。
冬の学校には同世代の研究者が多く集まり、刺激的で学びの多い一日となりました。研究に対するモチベーションも高まり、非常に充実した時間を過ごすことができました。
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三浦 玄
(情報通信研究機構・未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター)