脊椎動物の胎児シミュレーションによる身体に基づく脊髄神経回路形成及び運動発達

Self-organization of spinal circuit and motor development based on embodiment using vertebrate fetus simulations

  • 山田 康智 (東大院・情報理工、学振・特別研究員(DC1))
  • 國吉 康夫 (東大院・情報理工)
  • Yasunori Yamada (Grad. School of Info. Sci. and Tech., The Univ. of Tokyo & JSPS research fellow)
  • Yasuo Kuniyoshi (Grad. School of Info. Sci. and Tech., The Univ. of Tokyo)

近年,胎生期から始まる自発運動が神経系の自己組織化及び運動発達に重要な役割を果たす事が示されている(Lacquaniti et al, 12).脊髄神経回路の従来研究は,転写因子の発現の違いにより介在性ニューロンを分類し,それぞれの解剖学的特徴や機能的役割に関して明らかにしてきた(Goulding,09).また,この転写因子や運動ニューロンの分子プログラム,神経振動子など,脊椎動物において多くの共通性がある事も分かっている(Grillner & Jessell, 09).しかし,共通の神経系基盤のもと,自発運動を通じた相互作用の中で,脊髄神経回路が自己組織化過程を通じ分化し,種に応じた神経系・運動発達を可能にする機序については明らかではない.
本研究では,環境との相互作用を規定する要因である身体性に着目し,「身体性が自発運動を通じて脊髄神経回路を形成する」とする仮説を提案,計算機シミュレーションを用いて検証を行った.ゼブラフィッシュ,イヌ,ヒトの筋骨格身体モデルと,共通の神経系モデルから成る胎児モデルを構築した.そして,自発運動を通じHebb則に基づく可塑性により神経系モデルの学習を行った.結果,運動の変化として原始歩行様運動の現れや,運動の複雑性増加といった生物の運動発達傾向と一致する運動変化が観察された.更に,得られた神経回路と身体性について,筋間の関係性を表すネットワークを用い定量的に比較を行い,各身体モデルの身体性に基づき神経系モデルが自己組織化的に分化する事を示した.以上の結果から本研究では,脊髄神経回路の発達的形成過程を身体性に基づき理解できる可能性を示した.


Last-modified: 2012-12-18 (火) 15:56:32